GOTやGPTの改善にはビタミンUの働きも大切

肝細胞の修復を助けるという点では、近年、ビタミン様物質であるビタミンUが注目されています。ビタミンUといえば、『キャベジン』という商品名で、胃薬としてよく知ら入れていますが、これが肝臓病にも効果のあることがわかってきました。

臨床試験を行った結果、肝炎の患者さんにビタミンUを与えると、GOTやGPTなどの値が改善され、肝炎の治療に有効であることが確かめられたのです。いずれにしても、肝臓が障害されると、ビタミン様物も質を含むすべてのビタミンが欠乏します。栄養バランスのとれた食事でぜひカバーしましょう。

高野豆腐なら肝臓の栄養成分がたっぷり

高野豆腐は、豆腐を凍らせて乾燥させたもので、凍り豆腐、しみ豆腐とも呼ばれる、大豆の加工食品です。大豆の栄養成分をそっくり含んでおり、しかも水分がないだけそれらの栄養分が凝縮されています。

まず、とりわけ豊富なのが植物性タンパク質です。これは傷ついた肝臓の細胞の修復材料になります。次に、肝臓病の予防や改善に役立つサポニンの効率よい供給源であることです。サポニンは、大豆の場合、1kg中に0.5~0.6程度しか含まれていませんが、高野豆腐になると、乾燥して濃縮されている分、はるかに効率よくとれるのです。

そのうえ、サポニンは肝臓の働きを高めるので、お酒を飲むときにいっしょにとると、早く酔いが回り、早くさめて、しかも悪酔いしないという利点があります。このように高野豆腐は、他の大豆製品にない利点を持っていますが、だからといって高野豆腐ばかりを食べていればよいわけではありません。健康を保つためには、ほかの栄養素も欠かせません。食事全体の栄養バランスをととのえたうえで、高野豆腐を含めた大豆製品を毎日の食卓にふやしていただきたいものです。

アミノ酸が豊富で消化吸収も優秀な大豆もやしが肝臓強化におすすめ

大豆もやしは、大豆を人工的に発芽させた食品です。芽が出るときに、ビタミンCとビタミンB1がふえるうえに、大豆本来の植物性タンパク質もたっぶり含まれています。その植物性タンパク質には、リジン、トリプトファン、メチオニンなどの必須アミノ酸が豊富です。

これらのアミノ酸には、肝臓に栄養を補給したりアルコールの代謝を助ける働きがあります。お酒の飲みすぎは、脂肪肝を起こす大きな要因の1つですが、大豆もやしに含まれるアミノ酸がアルコールの害を減らし、肝臓を守ってくれるのに一役買ってくれるわけです。

ところで、大豆そのものは肝臓強化に役立つ心強い食品ですが、ただ1つ弱点があります。「消化吸収が悪い」というのがそれです。この点、大豆もやしは大豆よりもずっとすぐれています。アミラーゼやインベルターゼなどの消化酵素が含まれているからです。そのため、胃の調子がおかしい、といったときにも胃に負担をかけずに食べられます。なお、大豆もやしの栄養成分をむだなくとり入れるには、ゆでるよりいためる調理法が有効です。

ビタミンたっぷりのカボチャが肝臓を元気にする

野菜の中にも、肝臓を守ってくれるものが幾づかあります。その1つは、かぼちゃです。苦から冬至にかぼちゃを食べる習慣がありますが、昔の人たちも寒くてお酒の進む時節にかぼちゃが疲れた肝臓をいやすということを知っていたのかもしれません。

かぼちゃは緑黄色野菜の代表選手です。ビタミンA効力を持つカロチンが非常に豊富なうえ、ビタミンEも多く、Cも含まれています。ビタミンAは欠乏するとガンが起こることがあるともいわれ、ビタミンCとともにガン抑制に役立つと考えられる重要なビタミンです。

肝臓病になると特にAは不足がちになるので、積極的に補ってやる必要があります。そしてビタミンEとCには、肝細胞の膜を傷つける過酸化脂質の生成を防いだり、できてしまったものを分解したりする働きがあります。ビタミンEは、肝臓病や動脈硬化の治療にも使われています。

肝臓にとって、A 、C 、E はまさにエースのビタミンです。肝臓が気になり始めた中年世代の人は、かぼちゃ料理のバリエーションを工夫して、もっと食卓にのせる回数をふやしたいものです。なお、かぼちゃのビタミンA は、油で調理すると5倍以上も有効に働くので、植物油でじょうずに料理します。オリーブオイルを使えば腸ストレス改善にもつながります。

肝臓の病気を予防するだけでなく肝機能を高め肝炎を改善するにんにくは自然界の肝臓特効薬

いまのところ肝臓病には特効薬がなく、いわゆる強肝法を実行しようにも、「タンパク質をたっぷりとってアルコールは控えめに」といった常識的なこと以外、打つ手はないのが現状といっていいでしょう。そんな気休め程度の対策ではなく、もっと積極的に肝臓を守りたいというかたに、ぜひおすすめしたいのがにんにくです。

なぜにんにくが肝臓にいいのか、さっそく実際のデータをもとにお話ししましょう。にんにくの肝炎に対する効果を、マウスを使った実験があります。

まず、マウスを幾つかのグループに分け、ネズミすべてに薬剤で肝炎を起こさせます。そして、その後それぞれのグループに、にんにくのおろし汁の与え方を変えて食べさせ、肝臓を調べてみました。
その結果、にんにくを全く与えないネズミは重症の肝炎を起こしていたにもかかわらず、にんにくを大量に与えたネズミは障害が軽いことがわかったのです。

また、肝細胞を電子顕微鏡で見てみると、にんにくを与えたネズミは細胞の働きが非常に活発になっていることも判明したのです。一方、反対に、あらかじめにんにくを大量に与えておいたネズミの場合では、肝炎を発症させる薬剤を吸入させても、そのネズミの肝臓にはなんの障害もあらわれませんでした。

このことから明らかになったのは、にんにくは肝炎の治療に大いに役立つだけでなく、ふだんからにんにくを多くとっていれば肝炎の予防にも非常に効果があるということです。

さて次に、人間にとってもこうした効果があるかどうかを調べてみました。急性肝炎の人18名、慢性肝炎の人20名、肝硬変の人6名に、にんにくから抽出したアミノ酸を1ヶ月から6ヶ月間、服用してもらいました。

その結果、すでに肝細胞が死滅化してしまった肝硬変のかたにこそ効果はなかったものの、急性肝炎と慢性肝炎の患者さんは、ほとんどが治るか、または状態が著しく改善されました。

つまり、人間にも、にんにくは効果を発揮したわけです。なぜ、にんにくがこのような効果を発揮したかというと、生のにんにくには、肝臓の障害を改善する物質が含まれているからです。その物質とは、硫黄を含んだアミノ酸(S アリル・L-システイン) です。そのうえ、これらの成分はにんにくに含まれている糖や脂肪と結合すると、よりいっそう強い働きをすることがわかりました。

にんにくの主成分のみでは10の力しか出せなくても、これに糖や脂質が加わると50~100の力を発揮するのです。まさに自然の生薬の神秘的な魅力といえるでしょう。肝臓の機能が弱っていると自覚している人や、アルコールで肝臓を痛めつけている人は、毎日1~2片ずつにんにくをとって、大いに強肝に役立てましょう。

にんにくで肝機能障害を抑制する

メチオニンが豊富などじょうは脂肪肝予防に最適

どじょうといえば、ひと昔前までは、日本人にとって身近なタンパク質源として重宝がられてきました。ところが、どじょうが生息するたんぽが減るにつれ、その数も減少し、また、農薬に汚染されているのではないかなどと敬遠されるようになりました。

しかし最近ではどじょうの養殖が進み、食通の間で、再び人気を盛り返しています。さて、このどじょうは栄養成分の面ですぐれた特徴を持っています。まず、同じ淡水魚のうなぎにくらべて脂肪がとても少ないので、脂肪のとりすぎが気になる人でも安心して食べられます。

また、うなぎ同様にビタミンAやDが多く、タンパク質が豊富です。そのタンパク質は良質で、体内でタンパク質を合成する際に欠かせない必須アミノ酸の1つであるメチオニンの含有量の多さでは、動物性タンパク食品の中でもどじょうが1位、2位を争うほどです。

このメチオニンは、特に脂肪肝になるのを防ぐ物質として有名です。ところで、肝臓にとって重要な働きをするビタミンの1つにB2があります。B2はとりわけ、肝臓での脂肪の代謝と深く関係しているビタミンです。近年、日本人の食生活は大きく変化し、脂肪をたくさんとるようになりました。脂肪をうまく代謝するためにはB2をより多くとるように心がけなければなりません。

さらにビタミンB2には、体の中で過酸化脂質の生成を抑える働きもあります。体内に過酸化脂質がふえると、肝臓に障害が起こり、GOTやGPTが上昇することがわかっています。

どじょうはなんと、こうした働きを持つB2を最も多く含む食品の代表格なのです。肝臓での脂肪の代謝を活発にし、脂肪肝を防ぎ、肝臓を過酸化脂質の害から守るためにも、ぜひどじょうを見直したいものです。どじょう料理では柳川鍋が有名ですが、家庭料理としてはどじょう汁もおすすめです。
これは、どじょうをまるのまま骨がやわらかくなるまで煮て、ささがきごぼうとともに、みそ汁に仕立てたものです。みそとごぼうの香りで、どじょうの泥くささも気にならず、さっぱりと食べられます。

カキの成分が肝臓をしっかりガード

晩秋から冬にかけての味覚の1つにカキがあります。酒飲みにとっては、磯の風味豊かな酢ガキを肴に熱欄で一杯というのは、こたえられない味わいでしょう。
フランスあたりでは、レモン汁をしぼっただけの生ガキを肴にワインを楽しむ光景もよく見かけられます。生ガキには、酢やレモン、すだち、ゆずなど、すっぱい味がよく合います。これがまたアルコール飲料にもうってつけの味わいとなります。

それだけではありません。昔から「カキは酒毒を消す」といわれるほど、カキ自体にも二日酔いや悪酔いの予防効果があるうえ、アルコールの害から肝臓を守る作用もあるのです。

ご存じのように、肝臓はさまざまな物質の「合成」「分解」「解毒」など重要な働きをしていて、大化学工場にもたとえられます。こうした肝臓の働きには、グリコーゲンやアミノ酸が欠かせませんし、そのほか各種ビタミンやミネラルをも必要とします。

カキには、これらの栄養素が豊富に、しかもバランスよく含まれているのです。まず、カキ肉に多く含まれるグリコーゲンですが、これは肝臓に力をつける働きをしています。また、グリコーゲンは代謝されて、グルクロン酸の原料にもなります。グルクロン酸は、肝臓を強くし、解毒作用を持つ物質です。

解毒作用といえばアミノ酸もかかわっており、これもカキには豊富に含まれています。グルタミン、グリシン、メチオニン、シスチン、タウリンなどといった各種のアミノ酸が体内にできた毒素を分解したり包み込んだりして、体外に運び出す役目を果たしているのです。

中でも特にタウリンは、肝臓の薬として臨床的にもたくさん使われているほどです。さて、肝臓の働きを高めれば、当然、アルコールの害も減らし、二日酔いや悪酔いの予防になります。アルコールは体内に入ると、肝臓で分解され、アセトアルデヒドという物質に変わります。
このアセトアルデヒドが二日酔いや悪酔いを起こす張本人で、肝臓に障害をもたらす有害物質なのです。

ところが、カキに含まれているグリコーゲンやアミノ酸は、肝臓の働きを高め、解毒作用を促進するので、アセトアルデヒドをすばやく分解して無毒化してしまいます。

さらに、大酒を飲んで肝細胞が破壊されたときには、アミノ酸はその修復材料ともなるのです。酒飲みたる者、常々肝臓にはお世話になりっばなしで、不幸の限りを尽くしているのですから、せめて肴にはカキのように肝臓の栄養になり、役に立つ食べ物を選ぶようにしたいものです。カキを味わう毒口同の方法といえば、やはり新鮮な生ガキをポン酢か二杯酢であえて食べる酢ガキに尽きるでしょう。熱を加えないため、カキに含まれるビタミン類の損失がありませんし、ミネラルやタウリンなども有効に摂取できます。

タウリンはシジミに豊富に含まれます。

肝臓に必須の魚介類に多いタウリンはいわしにも多く含まれる

しじみの特効成分タウリンが疲れた肝臓に効くで紹介したとおり、肝臓にはタウリンが欠かせませんが、こちらでも紹介したとおり、タウリンはシジミなどの魚介類に多く含まれます。

シジミをはじめとしてカキやいか、たこと同様、いわしもタウリンを非常に多く含んでいます。

魚の身の中でも、タウリンが特に多く含まれているのは、体の表面に近い部分、つまり血合い肉の部分です。
少し生臭い魚の血合い部分に肝臓を守るビタミンがたっぷりある

血合い肉の中に含まれるタウリンの量は、普通肉部分の100倍もあるといわれています。ところが、まぐろなど私たちにおなじみの多くの魚の場合、血合い肉を除いて売られていたり食べたりしています。

その点、いわしは血合い肉ごとまるのまま食べることができるので、タウリンがたっぶりとれる格好の魚といえます。それだけに、タウリンをじょうずにとる食べ方もぜひ知っておきたいものです。タウリンは油にはとけないので、オイルサーディンなど油漬けにしたいわしの缶詰めを利用するのはよい方法です。缶詰などでもたくさん売られています。

また、タウリンは水にとけ出しやすいため、いわしを煮るならあめ炊きのように煮詰めるか、つくね汁にするなどして、煮汁もいっしょに食べられるように工夫するとよいでしょう。

いわしなどの青魚の場合、タウリンも豊富ですが、DHAなども豊富に含まれます。
食べる=生きる(脳の発育に欠かせないDHAはどの魚に多い?)

魚を常食している人は心筋梗塞になりにくいでも紹介されているとおり、DHA・EPAも積極的に摂りたい栄養です。

少し生臭い魚の血合い部分に肝臓を守るビタミンがたっぷりある

ぶつ切りにした魚の切り口を見ると、背肉と腹肉の境目に、暗赤色の肉の部分があります。ご存じのように、これが血合い肉で、かれいやたらのような動きの少ない魚より、水面近くをぐんぐん泳ぎ回るかつお、まぐろなどに血合い部分が非常に発達しています。

ところで、私たちはとかく、この血合い肉を敬遠しがちです。刺し身のときはここを真っ先に切り落としますし、煮魚、焼き魚でも、ほとんどの人が食べ残してしまいます。見た目の悪さと、生ぐささがきらわれるのでしょう。

しかし、ここでぜひ血合い肉を見直し、積極的に口にしてほしいのです。なぜなら、血合い肉にはたいせつな栄養素が豊富に含まれているからです。なにしろ栄養満点といわれるレバーと同等の栄養価があり、私たちの肝臓の機能の一部を代行する働きさえあるのです。

まず、血合い肉は文字どおり血液を多く含んでいるため、当然鉄分の含有量が多く、普通肉部分の2倍はあります。そしてなによりすばらしいのは、ビタミンの宝庫であり、エラスターゼという成分が含まれているという点です。
エラスターゼは、血管を若返らせて動脈硬化や脂肪肝を予防します。ビタミンについては、ビタミンB1とB2が普通肉の6~10倍も含まれ2ています。

特に注目したいのは、ビタミンB1です。これは植物性食品にはほとんど含まれず、なかなかとりにくい栄養素です。ところが、血合い肉部分には、普通肉部分よりずっと多くB12が含まれており、B1、B2と同様、肝臓の働きを助ける強肝作用があるのです。

では、この強肝作用とはどのようなものでしょうか。肝臓の細胞が正常に働くためには、良質のタンパク質が必要です。良質なタンパク質であるには、必須アミノ酸が全種類、適切な割合で十分な分量がそろっていなければなりません。

しかし、こうした条件を満たす食品は、そう多くはありません。特に、食事のパターンが、ご飯にみそ汁、それに植物性食品を多くとる日本人には、とかくアミノ酸のバランスがうまくとれていない傾向が見られます。

たとえば、みその原料である大豆は「畑の肉」といわれ、すぐれたタンパク朗質源の1つです。しかし残念なことに、良質のタンパク質に豊富に含まれているはずの含硫アミノ酸については、不足ぎみです。ところがおもしろいことに、このみそ汁の具にビタミン12が豊富なあさりかしじみを入れると、そのビタミンB12の働きによって、こうしたアミノ酸のアンバランスが是正されるのです。

しじみの特効成分タウリンが疲れた肝臓に効く

ネズミの実験でも、ビタミンB12の働きが証明されています。白米にはアミノ酸のリジンやスレオニンが不足していますが、これを補ったえさをネズミに与えても、体重増加は17%前後です。

ところがビタミンB12を添加すると、増加率は43%にもはね上がりました。これらの知見や実験から、肝細胞が体をつくるのに必要なタンパク質を合成、処理するプロセスの中で、ビタミンB12が、非常に重要な役割を果たしていることがわかります。

つまり、肝臓の働きを活発にして、病気を防ぐには、常に質のよいタンパク質が必要であると同時にビタミンB12を含んだ食品をともに食べるのが、より効果的であるということです。酒飲みの人が脂肪肝になりやすいのは、お酒の量ばかり多く、きちんとしたおつまみを食べないために肝臓の脂肪を運び去る役目をするメチオニン(必須アミノ酸の1つ)が不足するからです。

酒の肴にタンパク質が多い食品を選ぶのはもちろんですが、そんなとき2ビタミンB12を多く含む、血合い肉の多い魚をいっしょにとり合わせれば、「タンパク質+ビ2タミンB12」ということで、脂肪肝予防にいっそう効果がアップします。

ちなみにビタミン12は不眠にも効きます

しじみの特効成分タウリンが疲れた肝臓に効く

昔から「肝臓が悪くなったら、しじみのみそ汁を飲むとよい」といわれてきました。気の利いた小料理屋などでは、肝臓をいたわってください、という配慮でしょうか、お酒のあとにしじみのみそ汁を出しているところもあるようです。

昔からのこの素朴な習慣を、迷信とばかり笑うことはできません。というのも、しじみには肝臓を守るために必要とされるタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれているからです。さらに、しじみにはすぐれた点があります。タウリンという含硫アミノ酸を豊富に含んでいることです。

このタウリンは、体の中でさまざまな役割を果たす有効物質で、1988年には肝臓病や心臓病の治療薬として認められ、積極的に使用されてすぐれた効果を上げています。ではタウリンは、肝臓に対して具体的にどんな作用を持っているのでしょうか。

第一に、タウリンにはATPという酵素の合成を促す働きがあります。ATPは細胞の営みに必要なもので、肝臓の細胞や心臓の筋肉、骨格筋などに不可欠な物質です。つまり、タウリンが十分にあれば、ATPがどんどん合成されて肝臓が丈夫になり、心臓の筋肉が強化され、元気も出るというわけです。第二に、タウリンは、肝臓の細胞に直接働いて、肝細胞を保護すると同時に強化したり、肝機能を高めたりする作用を持っています。この作用から、最近では慢性肝障害や急性肝炎の治療にタウリンが使用されるようになっていることは、先ほどふれたとおりです。ただし、しじみにはコレステロールがけっこう含まれています。この点、不安を感じる人もいるかもしれませんが、タウリンとともに不飽和脂肪酸も豊富にあるため、しじみを食べても、血中コレステロールが高くなる心配はまずありません。

むしろ、タウリンと不飽和脂肪酸によって、コレステロールを低下させる効果のほうが大きいといえます。ところで、タウリンには水にとけやすい性質があります。たとえば貝を水で煮ると、タウリンの約30%は煮汁の中にとけ出してくることが知られています。

ここに、みそ汁のようなとり方の利点が出てきます。みそ汁なら、しじみからとけ出したタウリンをのがさずとれるわけです。また、みその大豆タンパクにも、肝臓を守るコリンなどのビタミンB群が多く含まれており、しじみのタウリンと相まって、いっそうの効果が期待できます。

こうしてみると、昔からいわれてきたとおり「しじみのみそ汁」は、確かに肝臓を守ってくれることがわかります。経験をもとにした先人の知恵が、科学的に裏づけされたからには、しじみのみそ汁を、ぜひもう一度見直していただきたいと思います。なおタウリンは、あさりやはまぐり、いか、たこ、カキなどにも豊富に含まれています。いわゆる魚介類に多く含まれる成分ですが、みそ汁で飲む場合、しじみが一番おいしいということでしょう。

しじみで肝機能を改善する