梅干しの肝臓強化成分

梅干しもまた、肝臓の解毒作用を手助けしてくれる食品の1つです。たとえば、お酒を飲むと、その代謝のほとんどは肝臓で行われます。このとき、梅干しをいっしょにとるようにすると、アルコールの分解がスピードアップして、悪酔いや二日酔いが防げるのです。

これは梅干しにたっぶり含まれるクエン酸などの有機酸の働きによります。梅干しは、このクエン酸以外にもりんご酸などといった有機酸の含有量が多い食品で、100グラム中になんと5グラムもの有機酸が含まれています。

りんごで1グラム、トマトで0.8グラム、レモンでさえも2グラムですから、その多さがわかるというものです。

悪酔い予防として梅干しをとるなら、お酒を飲む前に食べておいたり、梅干しを用いた料理を肴にするのが効果的です。特に良質のタンパク質と組み合わせるのがよく、鶏ささ身の梅肉あえ、納豆の梅たたきなどがおすすめです。

お酒を飲んだあとは梅干し入りのお茶づけで仕上げたり、梅干し入りの番茶をたっぷり飲んだりすると、二日酔いを防ぐことができ、翌朝の出勤もつらくありません。なお、梅には、肝臓の機能を高めるピクリンン酸という成分も微量ながら含まれており、肝臓強化に一役買ってくれます。

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夏バテの肝臓には穀物酢

夏といえばビール。暑い1日の終わりに一気にと飲み干すあの瞬間がやっぱり格別です。しかし、この快感が実はくせ者。杯を重ねるうちに、おつまみもろくに食べないまま、おなかがふくれてしまいます。夏場は胃や腸の働きが低下し、ただでさえ食欲が衰えがちです。

気がついたら夕食らしきものはとっていなかったなどといったように、食事をきちんととらないことにもなりがち。こうなると、知らず知らずのうちに肝臓にも負担がかかり、機能も衰えていきます。こんな肝臓の働きの衰えを防いで元気に夏を乗り切るのに、実は、強力な助っ人となってくれるものがあったのです。それは酢です。

酢はその原料や製法によって、穀物酢、果実酢、合成酢などに分けられます。穀物酢は米、麦、とうもろこしなどの穀物から作られるもので、精米を原料とする米酢や、玄米から作る玄米酢などがおなじみです。

果実酢は文字どおり果物から作られる酢で、リンゴ酢やぶどうから作るワイン酢などがあります。

合成酢は氷酢酸を水で薄めたものです。これらの中でも、肝臓の機能を助けてくれるのは、米酢と玄米酢です。特に、米だけを原料に自然のままの製法で作られた天然醸造のものが、強力な助っ人となってくれるのです。

強力な助っ人である秘密は、穀物酢に含まれるアミノ酸にあります。その秘密を明らかにするために、まず天然醸造の米酢の製法について説明しましょう。材料は米と水と米麹です。はじめに、蒸した米と水、米麹をかめに入れてお酒を造ります。そして、このお酒が空気中の酢酸菌によって酢酸発酵し、酢ができます。酢をさらに熟成させたものが、独特のコクと香りを持つ米酢というわけです。

この醸造・熟成にはおよそ1年間かかります。さて米には、100グラムあたり約14グラムのタンパク質が含まれています。このタンパク質が、発酵と熟成の過程でアミノ酸に分解され、米酢にそっくり含まれるわけです。このアミノ酸はメチオ:ン、シスチン、グルタミンといった種類で、これらが、肝臓の働きを助け、弱った肝臓の機能を回復するのに役立つのです。ご存じのように、肝臓は食物に含まれるタンパク質をアミノ酸に分解

そして、さらに、自分の体に必要なタンパク質につくりかえるという作業をしています。先に述べた米酢や玄米酢に含まれるアミノ酸は、そのままの形で、体に必要なタンパク質を合成するために使うことができます。つまり、肝臓は食物からとったタンパク質をアミノ酸に分解するという手間を省いて、効率よくタンパク質の合成ができるというわけです。しかも、酢に含まれるアミノ酸は肝臓に負担をかけないというだけでなく、弱った肝臓自体の修復もしてくれますから、肝臓病の病中、病後の食事療法にも最適といえます。

特にパテぎみの夏は、酢をたっぷりとって、無口で働き者の肝臓をいたわってあげたいものです。

黒酢で健康パワーアップ

ぬか漬けはビタミンB1が豊富で肝臓強化に欠かせない

食卓を彩る自然の色鮮やかなぬか漬けは、私たち日本人には欠かせない漬け物の代表格です。植物性の乳酸菌も多く、便秘解消効果もあります。たとえば夏パテで食欲不振に陥ったときなど、ぬか漬けの一鉢でふっと解消されるといったこともけっして珍しくありません。これは、たださっぱりしていておいしいとか菌ざわりがよいということだけではなく、ぬか漬けには夏パテ自体を解消する思わぬ力があるからです。

その思わぬ力とは、なんといってもぬかみそからきています。ぬかみそ、つまりぬかには、B1やB2をはじめとしたビタミンB群が含まれており、これが漬け込んだ野菜の中に浸透して、野菜のビタミンB群をいっそうふやすことが第一にあげられます。

次に、ぬかが発酵することによって生じた、ぬか床の中の乳酸菌が、ビタミンB2をふやす働きをしてくれることです。ご存じのように整腸作用がある乳酸菌には、ぬか漬けにほどよい酸味を与えると同時に、実は、このような働きもあるのです。

植物性乳酸菌は腸にとって二重丸
これは、余談ですが、動物性の乳酸菌が腸に合わない人でも植物性の乳酸菌だとしっかり働いてくれます。ヨーグルトは、ビフィズス菌が多いのですが、動物性乳酸菌で日本人には合わない人も多いのです。これはDNAの問題かもしれません。

ところで、食欲不振だけでなく、だるさや気力の減退など夏パテに特有の症状が起きるのは、肝臓の代謝作用が衰えるためです。代謝作用とは、食物の栄養素を、体に必要な成分に変えたり、エネルギーとして蓄えたりする働きのことです。

この肝臓の代謝作用の衰えは、夏パテだけではなく、肝臓病のときにも見られます。さて、肝臓の代謝作用が衰えてしまう要因の1つは、もともと肝臓自体に含まれる各種ビタミン、中でもビタミンB1やB2が不足することにあります。

逆にいえば、肝臓の働きをよくし、夏パテや肝臓病を寄せつけないためには、ビタミンB1やB2が欠かせないのです。そして、このビタミンB群の補給に、毎日なにげなく食べているぬか漬けが少なからず力になってくれるのです。
肝臓のスムーズな代謝にはビタミンB1が必要

このように、ビタミンB群を補い、いわば肝臓強化の一助になるぬか漬けですが、塩漬け野菜にぬかを振りかけたようなものや、即席のぬか漬けでは、その効果を期待できません。すでにお話ししたように、野菜を漬け込むぬか床が十分発酵していて乳酸菌やビタミンB群がたくさんふえていることが肝心なのです。

つまり、ぬか床が古くなればなるほどその効果が大きいと考えられます。ぬか漬けにする野菜については、ビタミンB群の補給、肝臓の強化という面から考えると、やはり各種ビタミンを多く含んでいる野菜を選ぶに越したことはありません。
ビタミンUを含むキャベツが肝臓の強化に役立つ

ビタミンの多い野菜の筆頭は、キャベツです。キャベツには、ビタミンB1、B2、Cなどが豊富に含まれているほか、カルシウム、リン、鉄などのミネラルも多く含まれます。ほかには、ビタミンA の多い大根の葉やかぶの葉、ビタミンB1、B2の宝庫であるセロリなどもおすすめです。

ピーナッツバターは肝臓にグッド!

グルメブームの反映でしょうか、最近はパンに塗るバターやジャムの種類も、ずいぶん豊富になったようです。ジャム1つをとってみても、ノんご、キーウィ、木いちご、ブルーベリーなどといったように選択の幅は広がっています。いずれも糖分の少ないものさえ選べば、パン食に彩りを添える「名わき役」になってくれます。これらパンに塗る食品で、中年世代に特におすすめしたいのがピーナッツバターです。

というのもピーナッツバターには、肝臓をしっかり守ってくれるビタミン類が豊富に含まれているからです。ピーナッツバターには、原料のピーナッツ自体に豊富に含まれるコリンやB1、B2などのビタミンB群がそのまま含まれており、いずれも、糖質や脂肪の代謝に不可欠で、肝臓に脂肪がたまるのを防いでくれるのです。そのため、これらのビタミン類は「抗脂肪肝物質」と呼ばれています。ピーナッツバターと聞くと、甘くて子どもが食べるもの、と思われるかたがあるかもしれません。

しかし、これは誤解で、むしろしょっぱいものがほんとうだといえます。食料品店でピーナッツバターを手にとってみると、たとえばA社の製品の原材料は「ピーナッツ、ショートニング(固形植物油)、乳化剤、食塩」とありました。こうした原材料に加えて、水あめ、砂糖、ぶどう糖、加糖脱脂練乳などを添加した製品もあります。

このタイプだと糖分のとりすぎが心配ですが、A社のような製品を選べば、その心配もありません。もっとも、しよっぱさから塩分のとりすぎを心配されるかたもあることでしょう。しかし、この点での心配も全くありません。というのも、ピーナッツバターには、食塩すなわちナトリウムを排泄する作用を持つカリウムが、ナトリウムの2倍近くも含まれているからです。ピーナッツバターは味覚のうえでのしょっぱさとはうらはらに、食塩の害のない食品といえます。パン食党のかたは焼きたてのパンにピーナッツバターをたっぷり塗って、たいせつな肝臓を守りたいものです。

ピーナッツ、アーモンドなどのナッツ類は酒飲みにおすすめの酒の肴にもあるように酒の肴にもピーナッツはおすすめです。

ビタミンUを含むキャベツが肝臓の強化に役立つ

かぼちゃと並んで、肝臓によいおすすめ野菜がキャベツです。キャベツはほかの葉もの野菜よりも良質な植物性タンパク質や遊離アミノ酸、カルシウムが多く、また、葉の緑の部分にはビタミンA、全体にはビタミンCや食物繊維が豊富に含まれています。

このほか、特筆すべきなのがビタミンUが含まれている点でしょう。ビタミンUは別名メチルメチオニンといい、アミノ酸の一種であるメチオニンやシスチンなどと同様、いわば硫黄分を含んだ含硫アミノ酸の仲間です。このメチルメチオニンも肝臓の中でメチオニンに変化するので、メチオニンと同じく、肝臓でのアルコールの分解を助けたり、脂肪肝を防ぐなどの働きをするといわれています。

メチオニンやシスチンといった含硫アミノ酸は本来、肉などの動物性タンパク質に豊富に含まれているものです。しかし、いくら肝臓にいいからといって、動物性食品からばかりとっていたのでは、動物性脂肪のとりすぎなどというマイナス面も出てきます。そこでキャベツのように、比較的アミノ酸を多く含んでいる野菜をたっぷり食べるようにすれば、バランスがとれるというものです。キャベツの栄養分をまるごととるには、油を使って短時間でいためる調理法が特におすすめです。

甘くてやわらかいこれからが旬の「春キャベツ」

GOTやGPTの改善にはビタミンUの働きも大切

肝細胞の修復を助けるという点では、近年、ビタミン様物質であるビタミンUが注目されています。ビタミンUといえば、『キャベジン』という商品名で、胃薬としてよく知ら入れていますが、これが肝臓病にも効果のあることがわかってきました。

臨床試験を行った結果、肝炎の患者さんにビタミンUを与えると、GOTやGPTなどの値が改善され、肝炎の治療に有効であることが確かめられたのです。いずれにしても、肝臓が障害されると、ビタミン様物も質を含むすべてのビタミンが欠乏します。栄養バランスのとれた食事でぜひカバーしましょう。

高野豆腐なら肝臓の栄養成分がたっぷり

高野豆腐は、豆腐を凍らせて乾燥させたもので、凍り豆腐、しみ豆腐とも呼ばれる、大豆の加工食品です。大豆の栄養成分をそっくり含んでおり、しかも水分がないだけそれらの栄養分が凝縮されています。

まず、とりわけ豊富なのが植物性タンパク質です。これは傷ついた肝臓の細胞の修復材料になります。次に、肝臓病の予防や改善に役立つサポニンの効率よい供給源であることです。サポニンは、大豆の場合、1kg中に0.5~0.6程度しか含まれていませんが、高野豆腐になると、乾燥して濃縮されている分、はるかに効率よくとれるのです。

そのうえ、サポニンは肝臓の働きを高めるので、お酒を飲むときにいっしょにとると、早く酔いが回り、早くさめて、しかも悪酔いしないという利点があります。このように高野豆腐は、他の大豆製品にない利点を持っていますが、だからといって高野豆腐ばかりを食べていればよいわけではありません。健康を保つためには、ほかの栄養素も欠かせません。食事全体の栄養バランスをととのえたうえで、高野豆腐を含めた大豆製品を毎日の食卓にふやしていただきたいものです。

アミノ酸が豊富で消化吸収も優秀な大豆もやしが肝臓強化におすすめ

大豆もやしは、大豆を人工的に発芽させた食品です。芽が出るときに、ビタミンCとビタミンB1がふえるうえに、大豆本来の植物性タンパク質もたっぶり含まれています。その植物性タンパク質には、リジン、トリプトファン、メチオニンなどの必須アミノ酸が豊富です。

これらのアミノ酸には、肝臓に栄養を補給したりアルコールの代謝を助ける働きがあります。お酒の飲みすぎは、脂肪肝を起こす大きな要因の1つですが、大豆もやしに含まれるアミノ酸がアルコールの害を減らし、肝臓を守ってくれるのに一役買ってくれるわけです。

ところで、大豆そのものは肝臓強化に役立つ心強い食品ですが、ただ1つ弱点があります。「消化吸収が悪い」というのがそれです。この点、大豆もやしは大豆よりもずっとすぐれています。アミラーゼやインベルターゼなどの消化酵素が含まれているからです。そのため、胃の調子がおかしい、といったときにも胃に負担をかけずに食べられます。なお、大豆もやしの栄養成分をむだなくとり入れるには、ゆでるよりいためる調理法が有効です。

ビタミンたっぷりのカボチャが肝臓を元気にする

野菜の中にも、肝臓を守ってくれるものが幾づかあります。その1つは、かぼちゃです。苦から冬至にかぼちゃを食べる習慣がありますが、昔の人たちも寒くてお酒の進む時節にかぼちゃが疲れた肝臓をいやすということを知っていたのかもしれません。

かぼちゃは緑黄色野菜の代表選手です。ビタミンA効力を持つカロチンが非常に豊富なうえ、ビタミンEも多く、Cも含まれています。ビタミンAは欠乏するとガンが起こることがあるともいわれ、ビタミンCとともにガン抑制に役立つと考えられる重要なビタミンです。

肝臓病になると特にAは不足がちになるので、積極的に補ってやる必要があります。そしてビタミンEとCには、肝細胞の膜を傷つける過酸化脂質の生成を防いだり、できてしまったものを分解したりする働きがあります。ビタミンEは、肝臓病や動脈硬化の治療にも使われています。

肝臓にとって、A 、C 、E はまさにエースのビタミンです。肝臓が気になり始めた中年世代の人は、かぼちゃ料理のバリエーションを工夫して、もっと食卓にのせる回数をふやしたいものです。なお、かぼちゃのビタミンA は、油で調理すると5倍以上も有効に働くので、植物油でじょうずに料理します。オリーブオイルを使えば腸ストレス改善にもつながります。

肝臓の病気を予防するだけでなく肝機能を高め肝炎を改善するにんにくは自然界の肝臓特効薬

いまのところ肝臓病には特効薬がなく、いわゆる強肝法を実行しようにも、「タンパク質をたっぷりとってアルコールは控えめに」といった常識的なこと以外、打つ手はないのが現状といっていいでしょう。そんな気休め程度の対策ではなく、もっと積極的に肝臓を守りたいというかたに、ぜひおすすめしたいのがにんにくです。

なぜにんにくが肝臓にいいのか、さっそく実際のデータをもとにお話ししましょう。にんにくの肝炎に対する効果を、マウスを使った実験があります。

まず、マウスを幾つかのグループに分け、ネズミすべてに薬剤で肝炎を起こさせます。そして、その後それぞれのグループに、にんにくのおろし汁の与え方を変えて食べさせ、肝臓を調べてみました。
その結果、にんにくを全く与えないネズミは重症の肝炎を起こしていたにもかかわらず、にんにくを大量に与えたネズミは障害が軽いことがわかったのです。

また、肝細胞を電子顕微鏡で見てみると、にんにくを与えたネズミは細胞の働きが非常に活発になっていることも判明したのです。一方、反対に、あらかじめにんにくを大量に与えておいたネズミの場合では、肝炎を発症させる薬剤を吸入させても、そのネズミの肝臓にはなんの障害もあらわれませんでした。

このことから明らかになったのは、にんにくは肝炎の治療に大いに役立つだけでなく、ふだんからにんにくを多くとっていれば肝炎の予防にも非常に効果があるということです。

さて次に、人間にとってもこうした効果があるかどうかを調べてみました。急性肝炎の人18名、慢性肝炎の人20名、肝硬変の人6名に、にんにくから抽出したアミノ酸を1ヶ月から6ヶ月間、服用してもらいました。

その結果、すでに肝細胞が死滅化してしまった肝硬変のかたにこそ効果はなかったものの、急性肝炎と慢性肝炎の患者さんは、ほとんどが治るか、または状態が著しく改善されました。

つまり、人間にも、にんにくは効果を発揮したわけです。なぜ、にんにくがこのような効果を発揮したかというと、生のにんにくには、肝臓の障害を改善する物質が含まれているからです。その物質とは、硫黄を含んだアミノ酸(S アリル・L-システイン) です。そのうえ、これらの成分はにんにくに含まれている糖や脂肪と結合すると、よりいっそう強い働きをすることがわかりました。

にんにくの主成分のみでは10の力しか出せなくても、これに糖や脂質が加わると50~100の力を発揮するのです。まさに自然の生薬の神秘的な魅力といえるでしょう。肝臓の機能が弱っていると自覚している人や、アルコールで肝臓を痛めつけている人は、毎日1~2片ずつにんにくをとって、大いに強肝に役立てましょう。

にんにくで肝機能障害を抑制する