1日1個のポーチドエッグ

外国のホテルの朝食のメニューで卵料理をみると、エニー・スタイル(any style)と書いているところが多いことに気づきます。

エニー・スタイルとは、どのようにでも調理いたしますという意味で、客はスクランブルド・エッグ、フライド・エッグ(目玉焼き)、ポーチド・エッグのいずれかを選択できます。
その3つの卵料理のなかで客がポーチド・エッグを選んだ場合には、食堂のほうでは最も品質がよくて、しかも新鮮である卵を使わざるを得ないのです。
理由は簡単でそうでないとうまくできないのです。

たとえ品質がよくても古くなった卵では、きれいなポーチド・エッグはできないのです。アメリカの農務省は卵の品質をAA、A、B という3つの等級に分けて、消費者に卵を買う際の選択の基準を示していますが、ポーチド・エッグにするにはAAでなくてはならず、しかもとれたてであるという新鮮さも必要です。

それだけに食堂は、ポーチド・エッグの注文には神経を使うのです。悪い卵を使うとたちまちバレレてしまうので、当然ながらそういう注文をする客は大事に扱われます。客は敬意を払われたうえに最高級の卵を供されるのです。

それにくらべると、スクランブルド・エッグは卵の形をなくしてしまうのですから、Aである必要すらなくBでも構わないことになります。
当然、食堂によっては、最も安いBを使うことになるでしょう。
あるいはまた古くなったAを使ったりします。そして、この調理法だと加熱がすぎるので栄養素がこわれて味が抜け、外からかなりの調味料を加えなくてはならなくなります。

スクランブルド・エッグを選んだ人が、食卓塩をせっせとふり込んでいるのはそのためです。

中間がフライド・エッグで、これも形のよいものをつくるためには、A以上の卵を使わなくてはなりません。しかし、油でフライにするうえにべーコンやハムが加わるので、かなりの動物性脂肪をとりこむことになります。

これも高温による加熱がなされるので昧が抜け、塩を若干ふらないと食べられません。

一方、ポーチド・エッグは、塩もなにも一切の調味料を加える必要がありません。加熱が適切なために卵の栄養がこわれておらず、卵自体の深い味があります。

卵は生で食べると消化・吸収が容易です。ただ、吸収がよすぎて、ある種の蛋白質は未消化のまま血液に入って卵にアレルギーのなかった人でもアレルギーをもつようになることがあります。

また、白身にふくまれているアピジンという物質がビオチンというビタミンを不活性化します。

だから理想は、アピジンがこわれるまで加熱をすることですが、アピジンは80度 程度の熱でこわれてしまいます。そして、卵白はちょうど80度で凝固します。

また、そこまでの加熱をすれば、蛋白質が未消化のまま吸収されるというようなことはなくなります。だから、80~90度の温度で加熱して卵白が凝固したところでとり出すことができれば理想的なのだが、ぴたりとその通りにやる方法がポーチド・エッグということです。

ポーチド・エッグのことを落とし卵というのですが、ポーチは落とすという意味ではありません。沸点より少し低い90~80度Cの液のなかで加熱することを意味しています。

ポーチド・エッグのつくり方はかんたんで、小鍋に3cmくらい水を張って火にかける。沸騰したら弱火にして、割った卵を静かに入れ、ふたをして火を止めます。
そのまま2~3分おいてとり出せば出来上がりです。

白身がかたまって黄身が半熟という状態で、栄養素の破壊が最小限にくい止められているため、卵自体の味があって、一切の調味料を加えずにそのまま食べることができます。卵は全食品中で最もすぐれた蛋白源です。

ただコレステロールも多いので、多量に食べるのは控えたほうがいいでしょう。とくに、コレステロールを酸化させて食べるのはNGです。

加熱時間が長くなるほど、また高温の加熱になればなるほどコレステロールは酸化します。長時間ゆでた堅ゆでの卵や、油を加えて加熱した目玉焼きには酸化したコレステロールがかなりふくまれているわけです。それに比べてポーチド・エッグはの湯のなかで90~80度の湯のなかで約2分間加熱するだけです。

最低限の加熱なので、コレステロールはほとんど酸化しないのです。このように1日に1個程度を理想的な調理によって、蛋白質を大きく変性させずに卵をとることは、健全な食生活の基礎となります。

肝臓を健康に保つには、良質なたんぱく質が必須

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