イライラする原因はいろいろありますが、原因のひとつにカルシウム不足があります。カルシウム摂取量が少ないと、神経がイライラしなかなか寝付けないということがあります。カルシウムの多い食品としては牛乳が代表的ですが、これならどの家庭にも冷蔵庫にあるでしょう。
牛乳にはCPP(カルシウムホスホペプチド)と呼ばれるカルシウムの吸収を促進する物質が含まれています。CPPはカルシウムとリン酸塩にペプチドが結合したものです。ペプチドというのは、タンパク質を構成しているアミノ酸がいくつか結合した物質です。
タンパク質よりは分子が小さく、アミノ酸まで分解せずに分解が途中で止まったものです。
牛乳にはイライラを抑える物質がもう1つ含まれています。それは、トリプトファンというアミノ酸です。必須アミノ酸は8種類ありますが、その中の1つであるトリプトファンは、神経のイライラを鎮める鎮静作用をもっています。
トリプトファン含有量の多い食品は少ないのですが、その中で牛乳はトリプトファンが多く含まれている食品の1つです。しかも、液状なので消化酵素も作用しやすく分解されやすいため、体内にとり入れやすいです。そこで、イライラして寝つきにくい場合、牛乳を飲むことによって安眠することができるのです。
この場合、牛乳は温めて飲むほう効果大です。というのは、胃に温かい飲物が入ると、体全体がほのかに暖まります。このことで神経が鎮静し、さらに、温かいと消化酵素の分泌も促進されて、タンパク質が早く分解し、トリプトファンの吸収もよく行なわれます。
また、その効果を高め、くつろいだ気分にするためには、ゆっくり飲むのがいいでしょうただし、薬などで単独でトリプトファンを摂取することは栄養上あまりおすすめできません。というのは、トリプトファンは必須アミノ酸の1つであるため、薬でとると必須アミノ酸のバランスが崩れ、栄養障害を起こすためです。しかし、トリプトファンを食物からとった場合は、トリプトファンの摂取量が必要以上に多くなっても、自然に吸収がコントロールされて、栄養障害などを起こすことはない。このように、薬品的なものによって単独にとるのと、自然の食品中に含まれているものからとるのとでは、同じように見えても、体内での働きはまったく異なるのです。この他、大豆のタンパク質もトリプトファンが豊富なので、きな粉ミルクをつくって飲めば、さらに鎮静効果大です。
トリプトファンを意識した食事を心がけることが大切です。
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