超軟水とは どんな水なのでしょう? 超軟水 (ちょうなんすい)について、水の硬度やメリット・デメリットなどを紹介します。日本の水は硬度の低い軟水がほとんどですが、その軟水の中でもさらに硬度が低い水が超軟水です。
超軟水とは? 水の硬度と定義
水には 硬度 (こうど) といわれるものがあります。これは、水道水でも製造販売されているミネラルウォーターでもそうですが、水に含まれるカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)の総量を炭酸カルシウム(CaCO3)の量に換算して示したものです。この量が多ければ硬水、少なければ軟水に分類されます。
日本の基準では、硬度が 100mg/L 未満の水が軟水、それ以上が硬水と定義されています。一般に、軟水は、ミネラル分が少なく口あたりがまろやかです。硬水は、ミネラル分が多く独特の飲みごたえがあります。
超軟水 は特に硬度が低い水
軟水はカルシウムとマグネシウムの含有量が少なく硬度が低い水だということをお話ししましたが、その軟水のうち、特に硬度が低いものを 超軟水 (ちょうなんすい)と呼んでいます。
超軟水については、現在では日本の公的基準に明確なものはありません。ただ、一般的には水の硬度が 40mg/L 以下、あるいは、限りなくゼロに近い水(純水に近いもの)を指すことが多いです。これは、日本の水の中でも特にまろやかで優しい水として認識されています。赤ちゃんのミルクをつくるときの水にもおすすめです。
超軟水のメリット 選ばれる理由
超軟水は、私たち日本人に慣れ親しんでいる軟水よりもさらにミネラル分が少ない水で、さまざまな面で優れた特性を持っています。
- 飲用・健康面でのメリット超軟水はミネラル分が極端に少ないため、胃腸への負担が少ないことが最大の利点です。この消化器への優しさから、消化器官が未発達・デリケートな乳幼児のミルクづくりや水分補給、また高齢者にも最適です。さらに、体への吸収が早いためスムーズな水分補給が可能で、老廃物の排出を促すサポートも期待できます。
- 調理・風味でのメリット超軟水は、和食との相性が抜群です。ミネラルが少ないため、出汁(だし)の旨味成分を最大限に引き出すことができます。硬水ではミネラルが旨味の抽出を妨げることがありますが、超軟水はその心配がありません。また、ご飯を炊く際にも、硬水のようにカルシウムが米の食物繊維を硬化させることなく、ふっくらと美味しく炊き上がります。お茶やコーヒーの風味も損なわず、まろやかな味わいに仕上がります。限りなく無味無臭に近いため、素材本来の繊細な味を邪魔しない点も大きなメリットです。
- 美容・生活面でのメリット美容面では、超軟水は石鹸やシャンプーの泡立ちが格段に良いという特徴があります。これは、ミネラルと石鹸が結合してできる石鹸カス(金属石鹸)ができにくいためです。結果として、肌のつっぱりや髪のきしみ・パサつきを防ぎます。生活面では、洗剤の泡立ちが良いため洗浄力が向上し、洗剤の節約にもつながります。さらに、配管や電気ケトル内部にスケール(ミネラル分の固まり)が付着するのを回避し、家電の長寿命化にも貢献します。
超軟水のデメリット 注意点
メリットが多い超軟水ですが、残念なところもあります。
第一に、超軟水はミネラル補給には向いていません。カルシウムやマグネシウムといったミネラル成分は少ないため、これらの補給を目的にするなら硬水の方が適しています。第二に、硬水特有の飲みごたえやコクがないため、人によっては、物足りなさを感じる場合があります。
また、調理においては使い分けが必要です。超軟水が和食に向く一方、牛肉の煮込み料理やパスタなど、硬水が持つミネラル分が肉を柔らかくしたり、パスタをアルデンテにしたりする効果を期待したい洋風料理には、硬水が向いている場合もあります。