牛や豚の肝臓、すなわちレバーは、昔から強肝食といわれてきました。もちろん、これにはそれなりの根拠があります。レバーには、人間の体に必要なタンパク質が理想的な形で含まれ、また、各種のビタミンもバランスよくそろっている完全栄養食品だからです。
レバーのタンパク質についてもう少しくわしくお話しすると、必須アミノ酸のバランスがよく、プロテインスコア(タンパク価)がとても高いのです。
つまり、レバーはほかのタンパク質食品(卵を除く)にくらべ、体の役に立つ率がグンと高いということです。
私たちの肝臓の組織は主にタンパク質で構成されているので、弱った肝臓の保護や再生には良質のタンパク質が欠かせません。この点、レバーは理想的なタンパク源で、まさに「肝臓は肝臓で治す」といわれるゆえんです。
レバーに含まれるビタミンですが、肝細胞を保護する働きを持つビタミンAをはじめ、体の新陳代謝に欠かせないB1、B2、B6、B12などのビタミンB群、脂肪肝を防ぐ働きのあるコリン、そしてパントテン酸などが豊富です。
ミネラルについても、鉄のほか、リン、カリウム、亜鉛などがたっぶり含まれています。
このように、まさに栄養の宝庫、天然の総合ビタミン剤といえるレバーなのですが、ビタミンCとEだけはごくわずかしか含まれていません。そこで、これらの不足分を補う食べ方を工夫したいものです。たとえばビタミンCを補うと、レバーに多い鉄は、吸収がよくなることがわかっています。
つまり、レバーの栄養効果を高めてくれるのです。具体的には、「レバにらいため」をおすすめしたいと思います。緑黄色野菜のにらにはビタミンが実に豊富に含まれていますし、にらのにおいの成分アリインの働きも見落とせません。
アリインを構成するアリル基はビタミンB1と結合し、体内での臥効果を長く保ちます。さらに、いためるときに使う植物油からは、レバーに不足しているビタミンEをとることができます。
にらのカロチンも油で調理することで、吸収がぐっととよくなります。いいことずくめのレバーですが、心配な点が全くないわけではありません。それは牛や豚の肝臓には、飼料とともに体内に入った抗生物質などが残っているのではないか、と疑われることです。
しかし、レバーの中に含まれている抗生物質は、たいした量ではありません。私たちが普通に食べるくらいの量では、体に影響を与えるおそれはないといっていいでしょう。ただし、購入するときは、色や鮮度をよく見ることがたいせつです。黄色みを帯びたり筋が多かったり、ブヨブヨしているようなものは避けて、いわゆるレバー色、暗赤色で光沢のあるものを選ぶようにしましょう
関連ページ
コメント