煮豆には昆布が必須

大豆の煮豆には、多くの場合、昆布を一緒に煮込みます。昆布は、グルタミン酸が多く、そのうま味が煮豆の味にプラスに働いていると思われますが、その他にも、煮豆に昆布を入れるのは、栄養的な意味があります。

大豆には、サポニンという有用な成分が含まれている。サポニンは喉などの粘膜を潤し、滑らかにする作用があります。黒豆は、皮の黒い大豆ですが、喉に炎症があるときなど、黒豆の煮汁でうがいをすると効果的です。

また、黒豆の煮汁で喉を潤すと声がよくなるなどの効能もあります。

いずれもサポニンの作用によるものですが、サポニンにはさらに、緩下剤としての働きもあります。便秘のときに煮豆などが効くのは、豆に多量に含まれている食物繊維とサポニンの複合的なプラス効果によるものです。

このように、サポニンにはいくつものプラスのメリットがありますが、デメリットとしては、ヨウ素等の重要な栄養成分を過剰に排泄してしまうという点があります。

ヨウ素は、髪の毛、歯、肌、爪などを健康に維持する働きがあります。逆に、甲状腺の働きと密接な関係があります。

もし、ヨウ素が不足すると、甲状腺の働きに異常をきたし、機能が低下して、活動にも影響が出ます。また、甲状腺が過剰に働くと、汗が多量に出るとともに、イライラして落ち着きがなくなり、ひどくなるとバセドー病などの原因になります。

大豆をはじめとした豆類は、良質の植物タンパク質とともに、カルシウム、ビタミンB1、食物繊維などを含み、栄養的にも非常に優秀です。

ところが、豆類をとっているだけでは、ヨウ素の欠乏が避けられません。これを防ぐのには何といってもヨウ素をたっぷり含む海藻です。

中でも、味の上でも大豆と相性がよいのが昆布です。また、昆布を大豆とともに煮ると、昆布が柔らかくなります。というのも、サポニンには、昆布の主成分である炭水化物のアルギン酸を柔らかくする働きがあるからです。

昆布は煮るとき、柔らかくなるまでに、かなり時間を要します。また、煮る前にあらかじめ水に浸してよく吸水させ、膨潤させておくことが大事です。しかし、この時間を短縮できれば、煮豆をつくる時間がかなり短縮できます。その点で、昆布を大豆とともに水で戻しておくと、煮るのも時間的に早くできるし、柔らかい煮豆になります。

こうしたおばあちゃんの知恵は、理論的な裏付けも伴っていて驚きます。

昆布の栄養成分についても忘れてはいけません。
昆布の成分 | コンブの降圧効果

体に蓄積されない油(サラダ油とオリーブ油)

最近、オリーブ油は体にいいということで人気の油ですが、オリーブは歴史的にもっとも古くから食べられてきた食品の1つといえるでしょう。最近、人気を集めている健康効果は多々あります。

最近は、酸化しにくい油として人気ですが、ギリシャ・ローマ時代からの天然便秘薬「オリーブオイル」 | 腸をごきげんににもあるように便秘に効くというものです。古くから便秘改善用に使われてきた歴史もあります。

特に古代ギリシャ時代、すでに食用として用いられていました。オリーブ油は地中海沿岸の料理に欠かせないが、健康的な油であるとして、近年日本でも人気が高まってきています。それだけに、その成分がどのようなものであるかです。

オリーブ油の脂肪の構成脂肪酸は、主としてオレイン酸です。オレイン酸は、コレステロールを取り除く働きをする不飽和脂肪酸の一種ですが、不飽和の部分は1ヶ所です。不飽和脂肪酸には、よく知られているリノール酸やDHAなど多くの種類がありますが、オレイン酸のように不飽和の部分が一個というのは他にはほとんど存在しません。

さらに、不飽和脂肪酸でありながら、不飽和の部分が少ないので、酸化しにくいという利点も見逃せません。また、体内に貯蔵されることは少なく、エネルギーとして消費されやすいのです。脂肪酸の中でオレイン酸のような一価不飽和脂肪酸は、パーム油に多いステアリン酸や、肉などに含まれるパルミチン酸のような飽和脂肪酸、リノール酸やDHAなどの多価不飽和脂肪酸、それぞれ1に対して1.5の比率でとるようにと日本人の栄養所要量で指示されています。

飽和脂肪酸は定期預金のように体内に蓄えられ、皮下脂肪などとして貯蔵されるのに対して、多価不飽和脂肪酸は、体内で各種の化学反応にかかわる一方で酸化しやすいため、酸化朋を防止するようなビタミン類をとることが必要です。その点で、不飽和脂肪酸ではあるが、安定していて体内にたまらないオレイン酸のようなものを中心に食べることが望ましいのです。

ところで、オリーブ油が安定していて酸化しにくい証拠として、赤ちゃんの皮膚につけても安全なことがあげられます。もし、赤ちゃんの皮膚にサラダ油などを塗ったとすると、しばらくすると炎症を起こして腫れてきます。

これは、脂肪が酸化して肌を刺激するからです。オリーブ油は酸化しにくいので皮膚に塗っても何も変化はおきません。この酸化しにくい性質は、加熱する際にも安心です。揚げ物などもからりと揚がるし、妙め物をしてもべたつきません。油は加熱すると酸化して粘性を増すものが多いのですが、オレイン酸の多いオリーブ油は、加熱による酸化が起こりにくいのです。なお、揚げ物の場合、200度程度に温度を上げた方がからりと揚がります。

ダイエット時は特に油の選択が重要です。油を味方にする | 太らない食習慣

眠れない時はホットミルクでリラックスする

イライラする原因はいろいろありますが、原因のひとつにカルシウム不足があります。カルシウム摂取量が少ないと、神経がイライラしなかなか寝付けないということがあります。カルシウムの多い食品としては牛乳が代表的ですが、これならどの家庭にも冷蔵庫にあるでしょう。
牛乳にはCPP(カルシウムホスホペプチド)と呼ばれるカルシウムの吸収を促進する物質が含まれています。CPPはカルシウムとリン酸塩にペプチドが結合したものです。ペプチドというのは、タンパク質を構成しているアミノ酸がいくつか結合した物質です。

タンパク質よりは分子が小さく、アミノ酸まで分解せずに分解が途中で止まったものです。

牛乳にはイライラを抑える物質がもう1つ含まれています。それは、トリプトファンというアミノ酸です。必須アミノ酸は8種類ありますが、その中の1つであるトリプトファンは、神経のイライラを鎮める鎮静作用をもっています。

トリプトファン含有量の多い食品は少ないのですが、その中で牛乳はトリプトファンが多く含まれている食品の1つです。しかも、液状なので消化酵素も作用しやすく分解されやすいため、体内にとり入れやすいです。そこで、イライラして寝つきにくい場合、牛乳を飲むことによって安眠することができるのです。

この場合、牛乳は温めて飲むほう効果大です。というのは、胃に温かい飲物が入ると、体全体がほのかに暖まります。このことで神経が鎮静し、さらに、温かいと消化酵素の分泌も促進されて、タンパク質が早く分解し、トリプトファンの吸収もよく行なわれます。

また、その効果を高め、くつろいだ気分にするためには、ゆっくり飲むのがいいでしょうただし、薬などで単独でトリプトファンを摂取することは栄養上あまりおすすめできません。というのは、トリプトファンは必須アミノ酸の1つであるため、薬でとると必須アミノ酸のバランスが崩れ、栄養障害を起こすためです。しかし、トリプトファンを食物からとった場合は、トリプトファンの摂取量が必要以上に多くなっても、自然に吸収がコントロールされて、栄養障害などを起こすことはない。このように、薬品的なものによって単独にとるのと、自然の食品中に含まれているものからとるのとでは、同じように見えても、体内での働きはまったく異なるのです。この他、大豆のタンパク質もトリプトファンが豊富なので、きな粉ミルクをつくって飲めば、さらに鎮静効果大です。

トリプトファンを意識した食事を心がけることが大切です。