酒飲みの肝臓強化には、牛乳、乳製品も忘れない

レバーだけではなく、良質のタンパク質や各種ビタミンを豊富に含み、肝臓の強化に大いに役立ってくれる食品があります。

それは、牛乳、そしてチーズやヨーグルト、スキムミルクなどの乳製品です。どれも身近な食品であるにもかかわらず、肝臓強化に役立つことを知らない人が多いのも残念です。

どんな点が肝臓にいいのか、まずは牛乳から見てみましょう。もともと牛乳は、五大栄養素、すなわちタンパク質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミンをバランスよく含むすぐれた栄養食品として知られています。それらの中でも、肝臓強化の面でとりわけ注目したいのはタンパク質とビタミンです。
牛乳のタンパク質は、肝臓に必要な必須アミノ酸のすべてを含んだたいへん質のよいものです。ビタミンについても、C以外のすべてのビタミンがまんべんなく含まれています。特に豊富なのはビタミンB2とAで、これらには肝臓の働きをよくする作用があります。

ちなみに、1日に牛乳びん1本分(200ml) を飲むと、タンパク質は1日に必要な量のおよそ10分の1がとれます。同様に、ビタミンB2は1日の必要量の4分の1強、ビタミンAは8分の1程度を摂取すとることができるのです。肝臓強化をはかるなら、肉や魚、卵などほかのタンパク質食品をとると同時に、牛乳も少なくともl日に200ccはとることをおすすめします。さて、牛乳から作られる乳製品にも、もちろん、牛乳と同じ栄養効果があります。中には牛乳以上にすぐれた面を持つものさえあるので、見のがすわけにはいきません。

  • チーズ
    牛乳を乳酸菌や酵素の働きで固めて水分を除いたもので、プロセスチーズ1箱(225g)を作るのに、牛乳13本が使われるといわれ、タンパク質(それも良質なもの)などの五大栄養素が、濃縮された形で含まれています。特筆したいのは、そのタンパク質の消化吸収率で、なんと98%というすばらしさです。これは、タンパク質が発酵の途中で分解されて、半ば消化された形になっているためです。
  • ヨーグルト
    「長寿のもと」といわれるヨーグルトは、牛乳を乳酸菌で発酵させて作ったものです。乳酸菌の働きで乳糖の一部が分解されているため、牛乳を飲むと下痢をする人も心配せずに食べることができます。
    ヨーグルトに甘味を入れるならオリゴ糖を
  • スキムミルク(脱脂粉乳)
    牛乳から脂肪分を除いて乾燥したものです。牛乳とあまり変わらない栄養成分で、エネルギーの低いのが特徴。太りすぎで脂肪や糖質を控えなければならない人には、最適の食品です。

こうして見直してみると、牛乳や乳製品のすばらしさがよくおわかりいただけたと思います。料理に使ってよし、そのままでもよし、毎日の食事にはもちろん、お酒のおつまみにもじょうずに利用して、肝臓強化に大いに役立てたいものです。
肝臓を元気にするための知識

牛、豚のレバーには、肝臓を強化する各種栄養素が豊富

牛や豚の肝臓、すなわちレバーは、昔から強肝食といわれてきました。もちろん、これにはそれなりの根拠があります。レバーには、人間の体に必要なタンパク質が理想的な形で含まれ、また、各種のビタミンもバランスよくそろっている完全栄養食品だからです。

レバーのタンパク質についてもう少しくわしくお話しすると、必須アミノ酸のバランスがよく、プロテインスコア(タンパク価)がとても高いのです。

つまり、レバーはほかのタンパク質食品(卵を除く)にくらべ、体の役に立つ率がグンと高いということです。

私たちの肝臓の組織は主にタンパク質で構成されているので、弱った肝臓の保護や再生には良質のタンパク質が欠かせません。この点、レバーは理想的なタンパク源で、まさに「肝臓は肝臓で治す」といわれるゆえんです。

レバーに含まれるビタミンですが、肝細胞を保護する働きを持つビタミンAをはじめ、体の新陳代謝に欠かせないB1、B2、B6、B12などのビタミンB群、脂肪肝を防ぐ働きのあるコリン、そしてパントテン酸などが豊富です。
ミネラルについても、鉄のほか、リン、カリウム、亜鉛などがたっぶり含まれています。

このように、まさに栄養の宝庫、天然の総合ビタミン剤といえるレバーなのですが、ビタミンCとEだけはごくわずかしか含まれていません。そこで、これらの不足分を補う食べ方を工夫したいものです。たとえばビタミンCを補うと、レバーに多い鉄は、吸収がよくなることがわかっています。

つまり、レバーの栄養効果を高めてくれるのです。具体的には、「レバにらいため」をおすすめしたいと思います。緑黄色野菜のにらにはビタミンが実に豊富に含まれていますし、にらのにおいの成分アリインの働きも見落とせません。
アリインを構成するアリル基はビタミンB1と結合し、体内での臥効果を長く保ちます。さらに、いためるときに使う植物油からは、レバーに不足しているビタミンEをとることができます。

にらのカロチンも油で調理することで、吸収がぐっととよくなります。いいことずくめのレバーですが、心配な点が全くないわけではありません。それは牛や豚の肝臓には、飼料とともに体内に入った抗生物質などが残っているのではないか、と疑われることです。

しかし、レバーの中に含まれている抗生物質は、たいした量ではありません。私たちが普通に食べるくらいの量では、体に影響を与えるおそれはないといっていいでしょう。ただし、購入するときは、色や鮮度をよく見ることがたいせつです。黄色みを帯びたり筋が多かったり、ブヨブヨしているようなものは避けて、いわゆるレバー色、暗赤色で光沢のあるものを選ぶようにしましょう

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1日1個の卵が肝臓を守る

お酒を飲む機会が多く、肝臓の弱りが気になる人に、ぜひ見直していただきたい食品があります。それは卵です。「なんだ卵か!」と思われるかもしれませんが、肝臓でのアルコールの代謝に欠かせない成分が、卵にはたっぶり含まれているのです。

まず、その代表的な成分ヒしてぁげられるのが、メチオニンです。メチオニンは必須アミノ酸の一種で、肝臓でのアルコールの分解作用をスムーズにする働きがあります。また、肝臓では全身の細胞をつくるのはもとより、肝臓の細胞そのものをつくるタンパク質を合成していますが、この働きを正常に保つ上でもメチオニンは欠かせません。

酒飲みは代謝を助けるメチオニンが必要

卵100グラムにつき、このメチオニンが400mgも含まれているのです。これは他の食品に比べてもかなり優秀です。
ところで肝臓のタンパク質の合成にはこのメチオニンばかりでなく8種類もの必須アミノ酸がすべてそろっていないとうまくいきません。よく肝臓の機能が低下するといいますが、これはタンパク質の合成機能が低下することをいいます。

その点、卵のタンパク質には必須アミノ酸のすべてが理想的な割合で含まれていますから、肝臓強化にはぴったりです。

卵が酒好きにとってよいのは、これらの理由からだけではありません。豊富に含まれるビタミン類も、肝臓の機能を正常に保つのに欠かせない存在です。

たとえば脂肪肝を予防してくれる物質として、卵にはコリンというビタミン様物質が含まれています。コリンは、肝臓での脂肪の分解を促進してくれるのです。

さらに卵には、アルコールが燃焼するときに必要なビタミンB1や、脂肪の酸化を防ぐビタミンB2もたっぶり含まれています。アルコールが肝臓にいちどきに多量に運ばれると、肝臓の働きが弱くなって、肝臓の中に蓄えられている脂肪が酸化されやすくなります。これが肝臓に炎症を起こす原因の1つになります。

しかし、このときにビタミンB2が働いて脂肪の酸化を防いでくれるのです。また、ビタミンB2には肝臓がアルコールを分解するとき、その役割を果たす酵素を助ける作用があるので、よりスムーズなアルコール代謝ができます。

このように卵は、メチオニンをはじめとする必須アミノ酸、コリン、ビタミンB群などを含む、すぐれた強肝食品です。お酒を飲むときには、おつまみにぜひ卵料理を1品は加えて、肝臓をしっかりガードしたいものです。

しかも、飲酒前に卵を食べておくと胃の粘膜が保護され、アルコールの吸収が弱められるので、悪酔い予防にも効果的です。なお、卵は加熱状態によって胃での消化時間が異なります。胃のもたれがちな人は、消化のよい半熟卵にして食べることをおすすめします。