日本の伝統発酵食品の納豆の多彩な栄養が肝臓を助ける

大豆を原料にした、代表的な発酵食品の1つが納豆です。大豆が栄養価の高い食品であることはよく知られています。しかし、消化がよくないのが難点で、煮豆でさえその消化率は65%程度です。

ところが納豆になると、大豆の優秀な栄養成分はそのままに、消化吸収率も80%以上と急激に高くなります。

これは、発酵の過程でタンパク質が分解され、アミノ酸などに変えられているためです。納豆の栄養価の高さについては、すでに多くの学者の折り紙つきです。

まずタンパク質ですが、納豆1包み(約100g)を食べると、約17g のタンパク質がとれます。これは魚肉に匹敵する量で、値段に比しても抜群の経済性です。

また肝臓を守るビタミンB群もたくさん含んでいます。たとえば、ビタミンB2は原料である大豆の2倍以上も多くなります。ビタミンEが持つ抗酸化作用などは、このB2をいっしょにとるとその働きが4倍以上になることがわかっています。
そしてなにより特筆すべきなのは、ビタミンB12が含まれていることです。B12は、タンパク質や脂肪、糖質の代謝を活発にさせるなどの作用を持つビタミンです。このB12はもともと動物性の食品に多く含まれるもので、大豆には全くありません。

ところが納豆菌がビタミンB12をつくり出してくれるため、大豆にはないこのビタミンを納豆からとることができるのです。大豆のタンパク質に加え、ビ2タミンB12をも含み、消化吸収のよい納豆は、まさに肝臓を守るうってつけの食品といえます。

なお、納豆には、とりわけ酒飲みの胃や肝臓を守ってくれる心強い成分がもう1つ含まれています。それは、あの特有のネバネバで、ムチンと呼ばれる物質です。ムチンはなめこなどのネバネバ物質にも含まれます。
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宴会前にナメコ汁と納豆を食べてから参加すれば悪酔い予防にもいいでしょう。

中高年のくたびれてしまった肝臓には豆腐の栄養成分が必要

大豆は良質のタンパク質が豊富に含まれ、肝臓を守るでも紹介していますが、肝臓病には高タンパク食が欠かせません。

しかし、肝臓が弱ると食欲が落ちるので、脂っこい肉類などはそう量を多くは食べられません。その点豆腐は良質のタンパク質が豊富でしかも風味があっさりしているため、肝臓病食にうってつけといえるでしょう。そのうえ、豆腐が肝臓病に最適なことを裏づける、次のような事実もわかっています。

肝臓病になるとアンモニアを解毒する能力が低下します。血液中に解毒されないアンモニアがふえると、さまざまな障害や、ときには昏睡さえ引き起こしかねません。そこで、肝臓を回復させようとして動物性のタンパク質食品をたくさん食べると、血液中のアンモニアがさらにふえてしまうことがあるのです。

つまり、肝臓のことを考えれば、肉などの良質のタンパク質は必要ではあるものの、アンモニアの害を考えるとそうむやみに食べるわけにはいかないのです。ところが、植物性のタンパク質食品である豆腐は、血液中のアンモニアをふやすことはありません。

まさに肝臓病の人向けの食品というわけです。加えて、豆腐の原料である大豆に含まれるサポニンという独特の成分も、肝臓病の改善に大きく役立つことがわかっています。
最近、肝臓病の原因の1つとしてにわかに注目を集めている物質に過酸化脂質があります。これは、油(不飽和脂肪酸)が酸素と結びついてできるサビのようなものです。
古い油を使った加工食品や冷凍食品をとりすぎてこの過酸化脂質が体内にふえると、肝臓の細胞に障害が起こるのです。

ところが、大豆に含まれるサポニンには、この過酸化脂質ができるのを抑え、肝臓を守る働きがあるのです。このことは私たちの実験でも確かめられています。豆腐は苦からおかずとしてだけでなく、酒の肴としても愛されてきました。
冷ややっこ、揚げ出し豆腐、湯豆腐などを肴にお酒を飲むという習慣は、わが先人たちが、無意識のうちにお酒の書から肝臓を守ろうとして身につけたものといえるかもしれません。私たちもこうした理にかなった習慣を受け継ぎ、肝臓を強く保ちたいものです。

酒飲みは「食べながら飲む」を習慣化する

大豆は良質のタンパク質が豊富に含まれ、肝臓を守る

いまのところ肝臓病には特効薬はなく、食事療法が改善の基本です。その食事療法の柱となるのが、良質のタンパク質をたっぷりとる食事、いわゆる高タンパク食です。これは、肝臓病になると肝細胞をつくっているタンパク質がどんどん壊れてしまうため、それを補う必要があるからです。

良質のタンパク質といえば、まず真っ先にあげられるのが畜肉類や卵をイメージする人が多いはずです。ただしこれらの食品の食べすぎは、脂肪のとりすぎにもつながりかねないので注意しなければなりません。動物性脂肪には、脂肪肝や動脈硬化を引き起こす飽和脂肪酸が多いのです。

そこで、そんな心配のないタンパク質源食品としてすぐに見直したいのが、大豆です。大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど良質なタンパク質を多く含み、ビタミンやミネラルにも富んだ低エネルギー・低カロリー食品です。肉よりたんぱく質たっぷりの凍り豆腐がおすすめ

その脂肪分には飽和脂肪酸はあまり含まれず、むしろ脂肪肝を抑える不飽和脂肪酸(オレイン酸やリノール酸、リノレン酸など)をたっぷり含んでいます。加えて、脂肪を分解する働きを持つコリンや、むだな脂肪を燃やしてくれるレシチンも豊富です。つまり、大豆には、肝臓病の人はもちろん、酒飲みの肝臓を守ってくれる栄養成分がたっぶり含まれているのです。

このような栄養成分は、豆腐や納豆、あぶらげ、高野豆腐、ゆば、みそといった大豆加工食品にも、量の多少はあるものの、もちろん含まれます。しかもありがたいことには、豆腐や納豆、ゆば、みそなどのタンパク質は、肉のタンパク質とくらべて消化吸収率が高いのです。

大豆製品はいずれも手軽で安価ですから、調理法を工夫して、毎日の食生活に積極的にとり入れることをおすすめします。大豆や大豆製品を料理にうまくとり入れながら、適当な量の肉や卵を組み合わせれば、タンパク質についてはまさに「鬼に金棒」といえるでしょう。

詳しい大豆効果についてはこちら。

酒飲みの肝臓強化には、牛乳、乳製品も忘れない

レバーだけではなく、良質のタンパク質や各種ビタミンを豊富に含み、肝臓の強化に大いに役立ってくれる食品があります。

それは、牛乳、そしてチーズやヨーグルト、スキムミルクなどの乳製品です。どれも身近な食品であるにもかかわらず、肝臓強化に役立つことを知らない人が多いのも残念です。

どんな点が肝臓にいいのか、まずは牛乳から見てみましょう。もともと牛乳は、五大栄養素、すなわちタンパク質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミンをバランスよく含むすぐれた栄養食品として知られています。それらの中でも、肝臓強化の面でとりわけ注目したいのはタンパク質とビタミンです。
牛乳のタンパク質は、肝臓に必要な必須アミノ酸のすべてを含んだたいへん質のよいものです。ビタミンについても、C以外のすべてのビタミンがまんべんなく含まれています。特に豊富なのはビタミンB2とAで、これらには肝臓の働きをよくする作用があります。

ちなみに、1日に牛乳びん1本分(200ml) を飲むと、タンパク質は1日に必要な量のおよそ10分の1がとれます。同様に、ビタミンB2は1日の必要量の4分の1強、ビタミンAは8分の1程度を摂取すとることができるのです。肝臓強化をはかるなら、肉や魚、卵などほかのタンパク質食品をとると同時に、牛乳も少なくともl日に200ccはとることをおすすめします。さて、牛乳から作られる乳製品にも、もちろん、牛乳と同じ栄養効果があります。中には牛乳以上にすぐれた面を持つものさえあるので、見のがすわけにはいきません。

  • チーズ
    牛乳を乳酸菌や酵素の働きで固めて水分を除いたもので、プロセスチーズ1箱(225g)を作るのに、牛乳13本が使われるといわれ、タンパク質(それも良質なもの)などの五大栄養素が、濃縮された形で含まれています。特筆したいのは、そのタンパク質の消化吸収率で、なんと98%というすばらしさです。これは、タンパク質が発酵の途中で分解されて、半ば消化された形になっているためです。
  • ヨーグルト
    「長寿のもと」といわれるヨーグルトは、牛乳を乳酸菌で発酵させて作ったものです。乳酸菌の働きで乳糖の一部が分解されているため、牛乳を飲むと下痢をする人も心配せずに食べることができます。
    ヨーグルトに甘味を入れるならオリゴ糖を
  • スキムミルク(脱脂粉乳)
    牛乳から脂肪分を除いて乾燥したものです。牛乳とあまり変わらない栄養成分で、エネルギーの低いのが特徴。太りすぎで脂肪や糖質を控えなければならない人には、最適の食品です。

こうして見直してみると、牛乳や乳製品のすばらしさがよくおわかりいただけたと思います。料理に使ってよし、そのままでもよし、毎日の食事にはもちろん、お酒のおつまみにもじょうずに利用して、肝臓強化に大いに役立てたいものです。
肝臓を元気にするための知識