唾液量が増加するタマネギの成分は口臭や肺炎の原因になるドライマウスを防ぐ

インフルエンザにもかかりやすくなる

最近、よく耳にするようになった「ドライマウス」ですがこれは、口が乾いている状態を表している、というだけでなく、「口腔乾燥症」という別名を持つ、れっきとした病気なのです。

ある調査によると、日本国内で推定されるドライマウスの潜在患者数は、約800万人から3000万人ともいわれています。ドライマウスになると、日常生活にさまざまな支障を来します。口の中の不快感や痛みが生じる、滑舌が悪くなる、味覚障害が起こるほか、さらに問題になるのが口臭です。

外界に接している臓器である口には、細菌や微生物がたくさだえきん存在しています。唾液の分泌が減少すると、寝ている問に細菌が増殖してしまうのです。朝起きたときに、口の中に強い不快感がある、口が臭いというのもドライマウスの症状の1つといえます。

また、食べ物を飲み込みにくくなる「摂食囁下障害」も問題になります。

例えば、食事をするときに、お茶や水、みそ汁スープなどの水分がないと、食べ物をうまく飲み込めないのは、摂食囁下障害の1つのサインといえます。以上は、ドライマウスによって起こる、口の周辺の悪影響ですが、実は、それだけではありません。
唾液は、全身の健康を維持するために、非常に重要なのです。そのために唾液は、1日に1.5リットルゼも分泌されています。それでは、唾液が枯渇するドライマウスになった結果、どんな病気を引き起こすのでしょうか。

まず考えられるのが、感染症です。インフルエンザをはじめとするウィルスが口に入っても、唾液がきちんと分泌されていれば、抗菌作用が発揮されて、ウィルスを撃退することができるのです。

しかし、ドライマウスで唾液が枯渇していると、ウィルスが殺菌されないまま全身に回って、インフルエンザに罹患する可能性が高くなってしまうでしょう。

次に挙げられるのが、肺炎です。最近、高齢者の死亡原因の上位にランクされる病気ですが、これもドライマウスとも無関係ではないのです。
口の中の細菌はまずは、唾液によって殺菌されます。
もし、それをすり抜けた細菌があっても、飲み込んでしまえば、胃の中で胃液によって殺菌されるので、問題はないのです。

ところが、この細菌が誤って肺に入ってしまうのが、「誤囁性肺炎」です。特に高齢者の場合は抵抗力が弱まっているため、肺に細菌が入ると、肺炎を起こして亡くなってしまうケースが多いのです。

さらに、胃炎も問題になります。実は、唾液には、消化酵素としての働きもあるのです。ドライマウスで唾液が分泌されないと化をすべて胃に負担させることになります。その結果、胃炎を引き起こしてしまうのです。これは、「萎縮性胃炎」と呼ばれるものです。

ちなみにしっかり噛んで食べることで唾液は分泌されますが、脳と体が鍛えられます。

唾液腺の機能が高まると立証された

ここまで、いかにドライマウスが恐ろしいかについて、お話ししてきました。そこで、その解消のためにお勧めしたいのが、タマネギなのです。

タマネギには、ケルセチンというポリフェノールが多く含まれています。ケルセチンには血液をさらさらにして血流をよくする作用、臓器の働きを阻害するサビともいうべき、活性酸素を除去する抗酸化作用などがあることで知られています。

このケルセチンが、ドライマウスを治療するのに役立つのではないかと考え、その研究に取り組みました。まずは2ヶ月間、通常のえさを与えたマウス、ケルセチンを含んだえさを与えたマウスで比較を行いました。

その結果、後者において、約25%も唾液が多く分泌されていることが判明したのです。さらに、唾液腺の働きを低下させたマウスを作り、ケルセチンを含んだえさを与える実験も行ったところ、こちらでも唾液量がふえる効果が確認されました。ドライマウスの1つの原因として、酸化ストレスが挙げられています。

ケルセチンには血液をさらさらにして血液をよくする作用、臓の働きを阻害するサビとも言うべき、活性酸素を除去する抗酸化作用などがあることで知られています。

ケルセチンが、唾液の分泌を促進すること、抗酸化作用によって唾液腺の機能を高めることが立証されたのです。この結果を受けて、私たちのグループでは、ヒトでも検証をしていますが、大いに期待が持てると思っています。

ケルセチンは、さまざまな植物や野菜に含まれているポリフェノールですが、タマネギは特に豊富です。効果的に摂取するコツとしては、タマネギを水にさらさないことです。ケルセチンは水溶性なので、水にさらしてしまうと、せっかくの成分が流れてしまいます。そこで、みそ汁やスープに入れて食べれば、流れ出たケルセチンをたっぷりと摂取できるでしょう。

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