アメリカの40歳すぎの男性のうち1200万人が前立腺になんらかの障害をもっているといわれています。そして85歳になるまでにそのうちの95% の人が前立腺肥大の経験をします。
正常であれば粟くらいの大きさの前立腺がオレンジ大に肥大します。前立腺は膀胱底の前下部にあって、形も大きさもちょうど栗そっくりの臓器です。
ここで前立腺液がつくられて、精嚢腺でつくられた物質と一緒に精液の一部を形成します。つまり射精される精液の液体部分の一部がここでつくられます。
この前立腺のなかを尿道が通っているために、前立腺が肥大してくると尿道が圧迫されて、尿の出が悪くなり、ときには血尿がでることもあります。
ところで、前立腺肥大は、正確には前立腺そのものが大きくなるわけではなく、前立腺ののなかに一種の腫れ物(線維腺腫)ができて、それが大きくなるために前立腺が肥大してくる病気です。
腫れものが大きくなってきはじめると、尿道が刺激をうけて、夜中に何度も小便に行くようになります。それが前立腺肥大の最初の兆候です。そして、しだいに尿が出にくくなって、そのうちに尿が出きらずに残るようになり、さらにすすむと、とつぜん尿が出なくなる(尿閉)事態も起こりうるのです。
従来は、高齢者に多くみられることから、年齢と関係したホルモンの変化が主たる原因ではないかと考えられ、予防の方法はないとされてきたのです、最近では食事にも原因のあることがわかってきました。
この病気は戦前は欧米で多くみられて、わが国ではまれでした。ところが戦後、わが国で急増したことでも食生活との関係が追究されているのですが、肥大した前立腺を解剖してみると、異常に高い濃度でコレステロールが存在しています。
それで脂肪を多くとる食事が原因の1つと考えられています。前立腺を肥大させた犬の餌から脂肪を減らしてやると、前立腺が縮小することも確かめられていますが、脂肪のとりすぎはここでも健康上の大きなリスク・ファクターとなるわけです。
一方、栄養素の不足もまた、前立腺の肥大につながることがわかっています。シカゴ大学泌尿器科のアービン・ブッシュ教授は、延べ250人の前立腺肥大患者に亜鉛を補って効果を確かめています。亜鉛は前立腺の健康維持に不可欠の栄養素なので、その不足と発病の関係が考えられたからです。
亜鉛のサプリメントを最初の2ヶ月間は1日に34ミリグラム、その後は期限を切らずに1日に2ミリグラムから23ミリグラム与えたところ、80% の人に自覚症状の改善がみられ、25% の人の尿の出がよくなり、20%に前立腺のサイズの縮小をみられました。
それからも、亜鉛を不足させない食事が、前立腺の健康を維持するうえできわめて重要なことがわかるのですが、亜鉛源となる食品のなかで脂肪が少ないものといえば、代表はかき、はまぐり、あさりなどの貝類と、かに、えびの甲殻類です。
それが前立腺にとっての特別の食品なるのです。また、ほうれん草も忘れてはいけません。
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