ぬか漬けはビタミンB1が豊富で肝臓強化に欠かせない

食卓を彩る自然の色鮮やかなぬか漬けは、私たち日本人には欠かせない漬け物の代表格です。植物性の乳酸菌も多く、便秘解消効果もあります。たとえば夏パテで食欲不振に陥ったときなど、ぬか漬けの一鉢でふっと解消されるといったこともけっして珍しくありません。これは、たださっぱりしていておいしいとか菌ざわりがよいということだけではなく、ぬか漬けには夏パテ自体を解消する思わぬ力があるからです。

その思わぬ力とは、なんといってもぬかみそからきています。ぬかみそ、つまりぬかには、B1やB2をはじめとしたビタミンB群が含まれており、これが漬け込んだ野菜の中に浸透して、野菜のビタミンB群をいっそうふやすことが第一にあげられます。

次に、ぬかが発酵することによって生じた、ぬか床の中の乳酸菌が、ビタミンB2をふやす働きをしてくれることです。ご存じのように整腸作用がある乳酸菌には、ぬか漬けにほどよい酸味を与えると同時に、実は、このような働きもあるのです。

植物性乳酸菌は腸にとって二重丸
これは、余談ですが、動物性の乳酸菌が腸に合わない人でも植物性の乳酸菌だとしっかり働いてくれます。ヨーグルトは、ビフィズス菌が多いのですが、動物性乳酸菌で日本人には合わない人も多いのです。これはDNAの問題かもしれません。

ところで、食欲不振だけでなく、だるさや気力の減退など夏パテに特有の症状が起きるのは、肝臓の代謝作用が衰えるためです。代謝作用とは、食物の栄養素を、体に必要な成分に変えたり、エネルギーとして蓄えたりする働きのことです。

この肝臓の代謝作用の衰えは、夏パテだけではなく、肝臓病のときにも見られます。さて、肝臓の代謝作用が衰えてしまう要因の1つは、もともと肝臓自体に含まれる各種ビタミン、中でもビタミンB1やB2が不足することにあります。

逆にいえば、肝臓の働きをよくし、夏パテや肝臓病を寄せつけないためには、ビタミンB1やB2が欠かせないのです。そして、このビタミンB群の補給に、毎日なにげなく食べているぬか漬けが少なからず力になってくれるのです。
肝臓のスムーズな代謝にはビタミンB1が必要

このように、ビタミンB群を補い、いわば肝臓強化の一助になるぬか漬けですが、塩漬け野菜にぬかを振りかけたようなものや、即席のぬか漬けでは、その効果を期待できません。すでにお話ししたように、野菜を漬け込むぬか床が十分発酵していて乳酸菌やビタミンB群がたくさんふえていることが肝心なのです。

つまり、ぬか床が古くなればなるほどその効果が大きいと考えられます。ぬか漬けにする野菜については、ビタミンB群の補給、肝臓の強化という面から考えると、やはり各種ビタミンを多く含んでいる野菜を選ぶに越したことはありません。
ビタミンUを含むキャベツが肝臓の強化に役立つ

ビタミンの多い野菜の筆頭は、キャベツです。キャベツには、ビタミンB1、B2、Cなどが豊富に含まれているほか、カルシウム、リン、鉄などのミネラルも多く含まれます。ほかには、ビタミンA の多い大根の葉やかぶの葉、ビタミンB1、B2の宝庫であるセロリなどもおすすめです。

ピーナッツバターは肝臓にグッド!

グルメブームの反映でしょうか、最近はパンに塗るバターやジャムの種類も、ずいぶん豊富になったようです。ジャム1つをとってみても、ノんご、キーウィ、木いちご、ブルーベリーなどといったように選択の幅は広がっています。いずれも糖分の少ないものさえ選べば、パン食に彩りを添える「名わき役」になってくれます。これらパンに塗る食品で、中年世代に特におすすめしたいのがピーナッツバターです。

というのもピーナッツバターには、肝臓をしっかり守ってくれるビタミン類が豊富に含まれているからです。ピーナッツバターには、原料のピーナッツ自体に豊富に含まれるコリンやB1、B2などのビタミンB群がそのまま含まれており、いずれも、糖質や脂肪の代謝に不可欠で、肝臓に脂肪がたまるのを防いでくれるのです。そのため、これらのビタミン類は「抗脂肪肝物質」と呼ばれています。ピーナッツバターと聞くと、甘くて子どもが食べるもの、と思われるかたがあるかもしれません。

しかし、これは誤解で、むしろしょっぱいものがほんとうだといえます。食料品店でピーナッツバターを手にとってみると、たとえばA社の製品の原材料は「ピーナッツ、ショートニング(固形植物油)、乳化剤、食塩」とありました。こうした原材料に加えて、水あめ、砂糖、ぶどう糖、加糖脱脂練乳などを添加した製品もあります。

このタイプだと糖分のとりすぎが心配ですが、A社のような製品を選べば、その心配もありません。もっとも、しよっぱさから塩分のとりすぎを心配されるかたもあることでしょう。しかし、この点での心配も全くありません。というのも、ピーナッツバターには、食塩すなわちナトリウムを排泄する作用を持つカリウムが、ナトリウムの2倍近くも含まれているからです。ピーナッツバターは味覚のうえでのしょっぱさとはうらはらに、食塩の害のない食品といえます。パン食党のかたは焼きたてのパンにピーナッツバターをたっぷり塗って、たいせつな肝臓を守りたいものです。

ピーナッツ、アーモンドなどのナッツ類は酒飲みにおすすめの酒の肴にもあるように酒の肴にもピーナッツはおすすめです。

ビタミンUを含むキャベツが肝臓の強化に役立つ

かぼちゃと並んで、肝臓によいおすすめ野菜がキャベツです。キャベツはほかの葉もの野菜よりも良質な植物性タンパク質や遊離アミノ酸、カルシウムが多く、また、葉の緑の部分にはビタミンA、全体にはビタミンCや食物繊維が豊富に含まれています。

このほか、特筆すべきなのがビタミンUが含まれている点でしょう。ビタミンUは別名メチルメチオニンといい、アミノ酸の一種であるメチオニンやシスチンなどと同様、いわば硫黄分を含んだ含硫アミノ酸の仲間です。このメチルメチオニンも肝臓の中でメチオニンに変化するので、メチオニンと同じく、肝臓でのアルコールの分解を助けたり、脂肪肝を防ぐなどの働きをするといわれています。

メチオニンやシスチンといった含硫アミノ酸は本来、肉などの動物性タンパク質に豊富に含まれているものです。しかし、いくら肝臓にいいからといって、動物性食品からばかりとっていたのでは、動物性脂肪のとりすぎなどというマイナス面も出てきます。そこでキャベツのように、比較的アミノ酸を多く含んでいる野菜をたっぷり食べるようにすれば、バランスがとれるというものです。キャベツの栄養分をまるごととるには、油を使って短時間でいためる調理法が特におすすめです。

甘くてやわらかいこれからが旬の「春キャベツ」