粗食 VS 美食 粗食のほうが長生きできるのか?

「グルメは生活習慣病の元」「健康のためには美食よりも粗食のほうがいい」と思っている人が多いようですが、おそらくグルメ、美食を暴飲暴食と取り違えているのでしょう。

たしかに長寿の方の食生活をみると、どなたも粗食です。しかし、それをもって「粗食だから長生きできる」と考えるのは乱暴な話です。

長寿の方が粗食なのは「老人だから」と考えたほうが素直でしょう。もし、本当に粗食が健康にいいのなら、江戸時代の日本人の平均寿命は今よりも長かったはずです。戦後、日本人の平均寿命が延びたのは、経済が繁栄し、国民の栄養状況が改善されたからに他なりません。

もちろん暴飲暴食はいけません。しかし、だからといって「粗食がいい」というのは極端な発想です。美食と粗食のどちらのほうが身体にいいかといえば、美食がいいに決まっています。

そもそも人間の身体というものは、健康にいいもの、身体が必要としているものを美味しく感じるようにできています。つまり、美味しく感じるものには、それだけ栄養がたくさん含まれているということです。

たとえば、フカヒレスープは中華料理の中でも最高級とされていますが、このスープにはコラーゲンが豊富に含まれています。ヨーロッパやアメリカではローストチキンが最高のご馳走とされていますが、ローストチキンにもコラーゲンが豊富に含まれています。

寿司のネタでもっとも高価なものはトロですが、トロにはイワシの3倍以上のDHAが含まれています。昔は、このような高級品を食べることは一部の人にしか許されませんでした。

しかし、いまは違います。誰でも気軽に美食が楽しめます。こんな時代に粗食にこだわるのはもったいない話です。健康のためにも美容のためにも、美食をおすすめします。

野菜中心の食事では栄養が偏ってしまうので危険

朝は野菜サラダか果物、昼食もサラダ専門店でサラダ、夕食も野菜中心の料理。特に若い女性の中には、このような生活をしている人が少なくないといいます。

おそらく、「やせたい」「キレイになりたい」「健康になりたい」という気持ちから野菜中心の食生活をしているのでしょうが、はっきりいってこれは危険です。

野菜を食べていればビタミンやミネラルはとれます。しかし、健康的な体にとって最も大切な栄養素である蛋白質がまったくとれません。

また、エネルギー源である脂肪と糖質もこれでは不足してしまいます。その結果、疲れやすくなり、肌のハリもなくなり、ひどくなると貧血になり、生理不順なども起きはじめます。

「それでも、やせればいい」という人もいるかもしれません。しかし、野菜中心の食事にしても、必ずやせるとは限りません。むしろ、太る場合もあります。

というのは、野菜中心の食事をしている人は果物をよく食べるからです。果物には糖類が多量に含まれています。「ケーキもチョコレートも食べていない」といっても、果物をたくさん食べれば太ります。アメリカのベジタリアンが必ずしもみなスリムでないのもこのためです。

「肉やお菓子を控えればやせる」というのは何の根拠もない迷信といっていいでしょう。では、どういう食事をすれば美しくやせることができるのでしょうか。これは難しい問題ですが、次の4点が基本です。

第一は、蛋白質、炭水化物、ビタミンを十分にとり、バランスのよい食事をすること。
第二は、1日の摂取カロリーを抑え、脂質の摂取を全カロリーの30% 以下に抑えること。
第三は、食物繊維の摂取量を増やすこと。
第四は、食べすぎないこと。

特に重要なのは最後の「食べすぎないこと」です。どんなにバランスのいい食事をしても、食べすぎては意味はありません。昔から「大食短命」といいますが、これは今も同じです。美しくやせるには、まず「腹八分目」を守ることです。
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果物は胃が空のときに単独で食べる

パリのレストランでは前菜のメニューに果物をのせているところが割とたくさんあります。ただメロンと書いてあるので注文すると、カンタロープメロン(果肉が黄色いメロン)が1個丸ごと出てきます。

上の端だけ切ってふたのようにかぶせてあるので、客はそれをとってスプーンで掘りながら食べていきます。見ていると、このメロンを選択する人が意外に多いのです。

果物
果物

おそらくそれは栄養学の知識が普及しているからでしょう。果物は食後に食べるよりも食前に食べたほうがよいし、他の食品と一緒にではなく果物だけを単独で食べたほうがいいでしょう。
それも食事の20~30分前に食べたほうがよいでしょう。

主菜がすぐに出てきたのでは芳しくないけれども、フランスの高級なレストランでは主菜が出てくるまでにたっぶり30分はかかるので、ちょうどよいでしょう。

それにまた、ほとんどの店が果物のなかでもとくにカンタロープメロンを選んでいるのは、このメロンが栄養的にみてスーパースターともいうべき食品だという知識をもっているからに違いありません。

ダイヤモンド式減量法で知られるアメリカのハーベイ・ダイヤモンドは、正しく果物を食べる基本原則をこう述べています。消化のために食べものは胃のなかにおよそ3時間はとどまる必要があるのですが、唯一の例外が果物です。

果物は胃のなかで消化される必要のない唯一の食品なのです。完熟している場合には果物は、自分自身を消化するのに必要な酵素をふくんでいて、実質的にはすでに消化されているために、胃のなかには20~30分とどまるだけで小腸に移動します。

そして、小腸で栄養素が吸収されて体がそれを使うのです。第一の原則は、果物のもっている微妙な性質から必ず完熟した新鮮なものを生で食べること。

そのままであれ、ジュースにしてであれ、新鮮であってはじめて体にとって重要な価値をもつことになります。新鮮な果物は体が体内にたまった毒を出してきれいにするのを助けるのです。

第二の原則は、果物は胃が空のときに、単独で食べること。他のいかなる食品とも食べ合わせないこと。果物を食べたすぐあとに他の食品を食べないことです。

他の食品は胃のなかに3時間あまりもとどまっているのだから、混じり合うことになります。そして果物は、パパイヤのように消化酵素をとくに多量にふくんでいるものを除き、胃のなかの食べものの消化を逆にさまたげることになります。

だから果物はデザートよりオードプルで食べたほうがいいのですが、理想は朝食前に食べることです。果物の大きな働きは体内の清掃浄化を助けることなので、朝食べると体のリズムにぴったり合ってきます。

というのは、午前4時から正午くらいまでは、体が排出に力を入れる時間だからです。その時間に重い食事をとると排出に必要なエネルギーが消化のほうに回されて、十分な排出ができなくなるからです。

そして毒素が体内にたまる結果になるのだが、果物を食べても消化の負担がかかりません。体は排出に専念できるのです。それに果物は85~90% が水分で、毒素をふくんだ物質を体外に流し出すのにその水分が役立つのです。

朝起きて新鮮な完熟した果物を食べ、その後30分以上おいて朝食(消化のよい軽めのもの)をとるという習慣がつけば理想的です。
朝食抜きは肝臓に悪影響です。